箱舟の民

ノアを中心にプロレスを語ったり

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三沢光晴

20090618211624
今日はもう不安定な精神状態で起き上がれなかった。
ずっと三沢の情報を見てたけど、それでも現実感がなかった。
馬場さんや鶴田の時も、悲しかった。うそだろ?と、信じられなかったけど、悲しみの波はすぐに来た。
自分にとって三沢は、リアルタイムに20年近く見てきた尊敬する人。
悲しすぎて現実が受け入れられないのと、三沢がリング上で最期を迎えたという事実に神経が麻痺していたのかもしれない。三沢という人は、どんな強烈な技を受けても、必ず立ち上がって反撃していく人だったから…。

試合直後の、救命処置を施される三沢の映像を見た。涙がこぼれた。
だけどそれでもまだ何か現実感がない。

スポーツニュースの追悼特集で、三沢がインタビューに答えてる映像を見た時、涙が止まらなくなった。
ああ、もう三沢の喋る姿が見られないんだと。
レスラー三沢の姿は自分の中に生き続けている。
でも、人間としての三沢の喪失を初めて実感した。


三沢という人は、プロレス界の頂点にいた人だと言っても過言じゃない。
それは、レスラーとしても、人間としても。この二つが揃ってるからそう言える。
馬場さんと鶴田が亡くなって、三沢は全日本プロレスの社長に就任した。
だけどそこには、心ないフロントたちの圧力がかかっていた。
三沢は曲がったことは許さない。
その曲がったことに立ち向かって、疲れ果てて、プロレスを辞めることを考えていたという。
全日本プロレスを辞めた時も、ひとりで居酒屋でもやろうと考えていたらしい。
それが、三沢が離脱を宣言すると、二名の選手以外、全員が三沢に帯同した。
そこに三沢の人間力がすべて現れていると思う。今までそういう団体の分離はいくつもあったけど、あんな大所帯の離脱は他にない。

三沢はアテもなく辞めることを決めていたから、新団体という考えさえなかったと言う。
スポンサーも何もなく、その時は50万円しかなかったらしい。
もちろん選手には給料が払えない。
それなのにみんなは付いてきた。
嬉しい反面、どれだけのプレッシャーだったかと思う。30人以上の選手、フロントを何もない状態で背負ったわけだから…。
そして会社というと、これはどの業界でも同じなのかもしれないけど、汚いことが横行している。
三沢という実直な人間はそれに堪えられなくて全日を辞めたわけだから、ノアの社長になっても不器用に自分を貫き通していた。楽な経営なんかできてなかったと思う。
だけどそんな三沢だから、選手もファンも付いてきた。

三沢という人間を現すのにひとつのエピソードがある。
プロレスというと、試合より試合後の乱闘や喋りが長い人たちもいたりする。それはそれでまたひとつのプロレスだけど、それは別の話。
三沢はリング上の戦いにおいてすべてを体現していた。
三沢が自らマイクを持つことはなかった。
そんな三沢がただ一度、自らマイクを握った時がある。

三沢・秋山 vs 橋本・永田

相手の選手はライバルである新日本系の選手で、禁断の対抗戦と言われていた。
その試合で三沢はすべてを受け切った上で勝利した。
しかし新日系の選手は試合後の乱闘は当たり前。
殺伐とした中、両団体の選手が入り交じって乱闘が始まる。
だけど三沢率いるノアは鉄壁の結束で三沢を守っていた。
そして負けながらもマイクで挑発する相手に対して、三沢がマイクを握る。


「おまえらのな、思う通りにはさせねぇよ!」


プロレス的な売り言葉に買い言葉じゃない。
こうやって乱闘とかマイクで因縁を作っていく、そんなリングとは関係ないやり方に対する三沢光晴の本気の言葉だった。
最高にカッコよかった。

しかし相手は最低なことに、勝手に試合カードを決めて公表して、三沢を無理矢理リングに上げようとした。
ちなみに三沢はその試合にはファンのために出た。
三日前に死闘で首筋を何針も縫っていた状態で。
しかも相手は、プロレスとは畑の違う、総合格闘技の選手。
ほんとにメチクチャなやり口だった。
だけど三沢はこの試合にも勝って、伝説をまたひとつ作り上げる。

プロレスファンの間でこんな言葉が囁かれるようになった。

『ノアだけはガチ』

それはノアの凄みであり、同時に試合の激しさを現していた。
本当に、死んでしまうんじゃないかという人間の限界を超えた攻防。
それがいいとかいう話じゃない。
ただそこで命懸けで戦っている人たちが居て、自分は何度も「生きていてよかった」と思えるほどの感動を感じさせられてきた。
だから、三沢たちを応援せずにはいられなかった。
でもそんな戦いを続けていれば、人の体は弱って当然。
三沢は首、肩、肘、腰、膝、すべてに爆弾を抱えていた。特に首は一番ダメージを蓄積していた。
だけど三沢は決して休まなかった。弱音も吐かなかった。
同時に三沢は社長でもある。
多忙を極め、コンディションを整えることも出来なくなっていた。
三沢の体に脂肪がついたことに対して、筋肉にうるさい一部のファンから罵倒されることもあった。
団体の主軸の選手がガンになったり、病を抱えていて無理をできない選手がいたり、三沢は悲鳴をあげる体に鞭打って戦っていたのに…。

今年の四月、日本テレビが民放の中継を終了させることになった。
ノアとしてはあまりにも大きな打撃だった。
三沢の心労は想像を絶するものがあったと思う。
そんな中、タッグリーグ戦が行われた。
三沢はノアの次代を担う潮崎と組んで出場を表明する。
おそらく、潮崎を育てたい気持ちがあったんだと思う。
仙台大会は生で見に行った。
そこには動けない三沢が居た。よほどコンディションが悪いのかと思っていた。
だけど、三沢・潮崎は、タッグリーグに優勝する。
それはタッグベルトへの挑戦権に等しかった。
そして、6月13日、広島での挑戦が決定する。
ここに至る時点で、三沢の体は限界の間近だったんだと思う…。

バックドロップを受けて三沢は動かなくなった。
だけどバックドロップなら、鶴田、ウィリアムス、川田、森嶋と、強烈なものはいくらでも受けてきた。
三沢の首の限界に至った技が、昨日のバックドロップだったに過ぎないんだと思う。プロレスの基本、ボディスラムでも同じ結果だったかもしれない。
彰俊は何も悪くない。
その後の救命処置も適切だった。
レフェリーも迅速に試合を止めた。浅子トレーナーもいた。幸運にも会場に医者もいた。AEDも使った。救急車は三分ほどで到着した。

ただ、三沢光晴というレスラー、人間が、最期まで戦い続けたんだ。

だとしても、こんな結末は残酷すぎる…。
ここまで頑張ってきた人がなんで志し半ばで倒れなければいけないのか…。
馬場さんは61、鶴田は49、三沢は46…みんないってしまった…。

三沢の親友のレスラーに冬木という選手がいた。
三沢に対戦要求をしてそれはノアで実現した。
その時冬木は伏せていたが、悪性のガンを抱えながら戦っていた。
三沢と戦ってリングで散れるなら本望だと思っていたらしい。
試合後にガンであることを告白すると、三沢はすぐに冬木のために興行を手配した。もちろん収益なんかない。「そこまでする必要はない」という選手もいた。
だけど冬木は泣いて感謝していた。
そして冬木は世を去った。

三沢、もしあなたが引退すると言ったら、どれだけの人たちが協力してくれただろうな…。
寂しくても、引退して、ゆっくりして欲しかったよ…。
いつかあなたと話したかったよ。


『たら、ればなし』


そんな言葉を好んで使った三沢。
今、たら、ればの通用しない現実を前に、みんな精一杯頑張っている。
秋山は腰がヘルニアになってベルトを返上したよ。誰よりも責任感が強い人だから、リング上で泣いていたよ。あなたのために戦いたかったんだと思う。
彰俊は入場から試合後まで泣いていたけど、あなたなら「気にするなよ」って言うよな。小橋と戦う前には、母親に遺書を書いていたんだもんな…「もし何かあっても相手を怨まないでくれ」って。
小橋と高山が握手をして、あなたの遺影を見ていたよ。あなたのことだから、ガンを抱えてる小橋のことが心配でならないんじゃないか?高山とは酒を飲みながら語りたかっただろう。
潮崎がベルトを取ったよ。一日遅れたけど、あなたの築き上げてきた、あなたの魂がこもったシングルのベルトだよ。若い潮崎に重圧がかかるのは心配かもしれないけど、大丈夫。選手もファンもみんなで支えていくから。


まだまだ、心の整理はつかない。
でも、それぞれの人たちが、それぞれの人生を歩んでいく。
その多くの歩みを、あなたは勇気づけてきてくれた。
あなたは最期まで自分に嘘をつかず戦い通した。
そんな生き方を、誇りに思う。

「頑張ります、じゃなく、頑張りましたが聞きたい」

そんな風に言ってたね。
頑張り通したら、そっちに行くから。その時は話を聞いてくれ。いっぱい話したいことがあるんだ。
その日まで、自分なりにノアに命を捧げていくよ。
選手と一緒に守っていくから。



ありがとう、三沢
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  1. 2009/06/15(月) 21:11:56|
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